八十川武明
腎臓内科医として12年の研鑽を行い、透析医療では週3回患者さんと顔を合わせ、家族の力の偉大さと今の自分の無力さを痛感しました。その後、坂の上ファミリークリニックという在宅医療の日本を背負う静岡県のクリニックにて訪問診療を学びました。
やりがいがあると感じることとしては、自分のまわりの仲間が楽しく仕事をする環境をつくることです。患者さんの笑顔を見るのも好きなのですが、それ以上にスタッフが生き生きとして仕事をしていることに僕自身が幸せを感じます。決して面白おかしく仕事をするということではなく、仲間が仕事のやりがい、充実感、連帯感などを十分に味わうことのできる環境をつくることです。
浦河は過疎の町ではあり、都会にあるものがなんにもない街です。しかし都会にはない魅力が実は浦河にあります。それは、都会では良いサービスを提供しようと思っても、良いサービスには人が殺到し結局サービスの質が低下することが多いように思います。スタッフもひとつの部品になってしまうのです。
田舎だからこそ、最高のサービスを継続して提供することができると思っています。やるからには日本一を目指します。まだ日本に提供されていないサービスを目指します。今の医療も福祉も、困った個人に対してそのサービスが提供されていますが、日本の財政も厳しく、これからの時代はそれでは行き詰まってきています。個人個人で考えるだけではなく、家族のつながりを考える必要があると思います。つまり家族全体のサポートを行う医療、福祉の形態を考えていきたいと思っています。個人個人としては力が弱いのですが、家族の力は強力です。しかし逆に困った方向にそのエネルギーが発散されたり、一人に負担が掛かり過ぎたりすることにより、全国各地で悲しい出来事が起こっています。それを防ぎ、患者さん自身とともに家族が満足する医療になることを夢見ています。
今までの腎臓内科としての慢性の患者さんの苦しみ、そして在宅医療の知識が家族のサポートに役立てることができればと強く思っています。